「副業を始めたいけど、扶養から外れるのが心配」「いくらまでなら税金を気にしなくていい?」こうした疑問を持っている方は非常に多いです。
副業と扶養・税金の関係は、「税金の壁」と「社会保険の壁」の2つを理解することで整理できます。制度改正もあったため、最新の情報を押さえておくことが大切です。
この記事では、副業収入がある場合にいくらまで扶養に入れるのか、税金にどのような影響があるのかをわかりやすく解説します。

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副業と扶養の基本的な関係
「扶養」には2種類ある
まず大前提として、「扶養」には大きく分けて2種類あることを理解しておきましょう。
- 税法上の扶養(配偶者控除・扶養控除):所得税・住民税に影響する
- 社会保険上の扶養(健康保険の被扶養者):健康保険料・年金に影響する
この2つはそれぞれ基準となる金額が異なるため、「副業でいくらまで稼いでいいか」は、どちらの扶養について聞いているかによって答えが変わります。
扶養や税金の仕組みを1冊で整理しておきたい方は、副業の税金をまとめた本が参考になります。
税法上の扶養と年収の壁
従来の103万円の壁はどう変わった?
これまで「年収103万円の壁」として知られていたラインですが、税制改正により変更が行われました。
令和7年(2025年)分の所得から、所得税の基礎控除が引き上げられ、所得税がかからない給与年収の目安は160万円程度になりました。
さらに2026年度の税制改正関連法が成立し、この基準が178万円に引き上げられました。178万円は基礎控除104万円+給与所得控除74万円の合計です。令和8年分(2026年分)の所得税から適用されますが、月次の源泉徴収への反映は令和9年1月以後となり、2026年中は年末調整で精算されます。
「103万円の壁」は段階的に引き上げられています。
- 〜2024年:103万円
- 2025年〜:160万円
- 2026年〜:178万円(予定)
ただし、これは「所得税がかからないライン」であり、配偶者控除・扶養控除の基準とは異なる場合があります。
配偶者控除と配偶者特別控除
配偶者の場合、年間の合計所得が48万円以下(給与所得のみなら103万円以下)で配偶者控除が適用されます。103万円を超えても201万円以下なら段階的に配偶者特別控除が受けられるので、いきなり大きな負担増にはなりません。
社会保険上の扶養と年収の壁
130万円の壁
年収が130万円を超えると、社会保険上の扶養(健康保険の被扶養者)から外れ、自分で国民健康保険や国民年金に加入する必要があります。
社会保険料の負担は年間約20〜30万円程度になるため、130万円を少し超えただけでは手取りが減ってしまう「逆転現象」が起きることがあります。
2026年4月からの130万円の壁の判定方法変更
2026年4月からは、130万円の壁の判定方法が変更されます。これまでの「実際の収入見込み」での判定から、「労働条件通知書(労働契約書)に記載された年間収入見込み」での判定に変わります。
契約に規定のない残業代は年収にカウントされなくなるため、残業が多い方にとってはメリットのある変更です。
106万円の壁と撤廃の動き
従業員51人以上の企業に勤めている場合、年収106万円以上で社会保険に加入する必要がある「106万円の壁」があります。この壁は2026年10月をめどに撤廃される方向で調整が進んでいます。
副業収入と税金の関係
副業所得20万円以下なら確定申告不要?
よく聞く「20万円ルール」ですが、これは所得税に限った話です。給与所得を1か所からもらっていて年末調整を受けている人は、それ以外の所得(収入から経費を引いた金額)が20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。
住民税には「20万円ルール」は存在しません。副業所得が1円でもあれば、お住まいの自治体への住民税の申告が必要です。これを知らずに無申告のまま放置すると、延滞税や加算税がかかる可能性があります。
副業が「給与所得」か「事業所得・雑所得」かで扱いが変わる
パートやアルバイトなど雇用される形の副業は「給与所得」に分類されます。一方、フリーランスとしての仕事やブログ収入などは「事業所得」または「雑所得」に分類されます。
給与所得の場合は、本業と副業の給与を合算して税金が計算されるため、20万円ルールの適用にも注意が必要です。

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扶養を外れないために気をつけるポイント
1. 年間の収入見込みを把握する
副業を始める前に、「いくらまで稼いでいいか」のラインを明確にしましょう。税法上の扶養と社会保険上の扶養、それぞれのラインを把握しておくことが大切です。
2. 収入の記録をつける
副業の収入と経費をこまめに記録しておきましょう。年末に慌てて計算するのではなく、月ごとに収支を管理しておくと、上限を超えそうなときに早めに調整できます。
収支の記録には、書き込み式の家計簿を使う方法もあります。
3. 扶養者の勤務先に確認する
扶養に入れている側の勤務先の健康保険組合によって、被扶養者の収入基準が異なる場合があります。念のため、副業を始める前に確認しておくと安心です。
扶養を外れた場合の手取りシミュレーション
扶養を外れることのインパクトを、具体的な数字で見てみましょう。
年収120万円の場合(扶養内)
- 所得税・住民税:数万円程度
- 社会保険料:0円(被扶養者のため)
- 手取り:約115万円
年収140万円の場合(扶養外)
- 所得税・住民税:数万円程度
- 国民健康保険+国民年金:約25万円
- 手取り:約110万円
年収が120万円→140万円に20万円増えたにもかかわらず、手取りはむしろ5万円減ってしまうケースがあります。これが「逆転現象」と呼ばれるもので、年収150万円以上を稼がないと手取りベースでプラスにならない理由です。
年収180万円の場合(扶養外・安定的に稼ぐ)
- 所得税・住民税:約10万円
- 社会保険料:約27万円(国保+年金)
- 手取り:約143万円
年収180万円以上になると、扶養内の120万円よりも手取りが着実に多くなります。中途半端な収入が一番損をするため、「扶養内に抑えるか」「思い切って180万円以上を目指すか」のどちらかに振り切る戦略が有効です。
副業の種類による扶養への影響の違い
給与所得(パート・アルバイト)の場合
パートやアルバイトの副業は「給与所得」になるため、本業の給与収入と合算して年収の壁を判定します。経費の控除はほとんど使えないため、収入=ほぼ所得として計算されます。
事業所得・雑所得(フリーランス・ブログ等)の場合
フリーランスの仕事やブログ収入は、収入から経費を差し引いた「所得」が判定の基準になります。PC代、通信費、書籍代、ソフトウェア代などを正当な経費として計上できるため、同じ収入でもフリーランス型の方が税金面で有利になるケースが多いです。
ただし、社会保険上の扶養の判定では「収入」で判断される場合もあるため、加入している健康保険組合のルールを確認しておくことが大切です。
経費を計上するには領収書の保管が欠かせないため、レシートを月ごとに分けて保管できるファイルがあると整理が楽になります。
年収の壁一覧と対象者
副業をする上で知っておくべき年収の壁を改めて一覧で確認しておきましょう。
- 100万円の壁:住民税が発生するライン(自治体により異なる場合あり)
- 103万円→160万円→178万円の壁:所得税が発生するライン(段階的に引き上げ中)
- 106万円の壁:社会保険加入の壁(2026年10月に撤廃予定)
- 130万円の壁:社会保険上の扶養から外れるライン
- 150万円の壁:配偶者特別控除が満額のライン
- 201万円の壁:配偶者特別控除がなくなるライン
これだけの壁があるため混乱しやすいですが、自分にとって関係のある壁がどれかを特定することが最初のステップです。会社員としてフリーランス型の副業をする方は、基本的に103万円・130万円の壁は影響しないため安心して副業に取り組めます。
よくある質問(Q&A)
Q. パートと副業を掛け持ちしている場合、年収の計算はどうなりますか?
パート収入と副業収入は合算して年収を計算します。パートが100万円、副業が40万円であれば合計140万円となり、130万円の壁を超えてしまうため注意が必要です。
Q. フリマアプリ(メルカリなど)の売上も扶養の年収に含まれますか?
生活用品の不用品販売であれば、基本的に非課税のため年収には含まれません。ただし、継続的に利益を得る目的での転売は「事業所得」または「雑所得」として課税対象になる可能性があります。
Q. 副業収入が増えて扶養を外れた場合、どのくらい負担が増えますか?
社会保険の扶養から外れた場合、国民健康保険と国民年金の保険料で年間約20〜30万円の負担増が目安です。このため、130万円を少し超える程度の収入だと手取りが減る可能性があります。一般的に、150万円以上稼がないと手取りベースでプラスにならないと言われています。
まとめ
副業と扶養・税金の関係は複雑ですが、ポイントは以下の通りです。
- 「税法上の扶養」と「社会保険上の扶養」は別物
- 所得税の非課税ラインは2026年から178万円に引き上げ予定
- 社会保険の扶養は年収130万円が基準(2026年4月から判定方法変更)
- 20万円ルールは所得税のみ。住民税の申告は所得の金額に関わらず必要
副業で稼ぐこと自体は素晴らしいことですが、扶養や税金の知識がないまま進めると、思わぬ負担増につながることもあります。自分の状況に合ったラインを把握して、賢く副業に取り組みましょう。

※本記事の情報は記事執筆時点のものです。税制改正により変更される可能性がありますので、最新の情報は国税庁の公式サイトやお住まいの自治体にご確認ください。
参考:国税庁「配偶者控除」 / 日本年金機構 / 厚生労働省
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