フリーランスにとって契約書は自分を守る重要な武器です。「契約書なんて必要ない」と軽く考えていると、一度トラブルに巻き込まれたとき何の証拠もない状態で戦わなければなりません。この記事では、テンプレート付きで契約書の作り方を徹底解説します。
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契約書なしの仕事は絶対にやめよう
フリーランスをやっていると「契約書なしでお願いしますね」と言われることがあります。しかしこれは絶対にNGです。契約書がないと「言った言わない」のトラブルになったとき、自分を守る手段がありません。
記事執筆時点で施行されているフリーランス保護法(公正取引委員会)(www.jftc.go.jp・サイト終了)でも、発注者に書面での条件明示が義務付けられています。法律的にも契約書を交わすのが当たり前の時代です。
契約書がないとこんなトラブルが起きる
実際にフリーランスが経験しがちなトラブルを見てみましょう。契約書があれば防げたケースばかりです。
- 報酬の未払い:納品したのに「まだ検収中」と言われて何ヶ月も払ってもらえない
- 報酬の減額:「予算が変わった」と言われて、約束より低い金額しか払われない
- 無限修正地獄:「もうちょっとだけ直して」が永遠に続く
- 著作権トラブル:制作物を勝手にポートフォリオに使えない、または逆に著作権を全部取られる
- スコープクリープ:最初の依頼内容にどんどん追加作業が積まれて、報酬は変わらない

フリーランスが使う契約書の種類
| 契約書の種類 | 用途 | 使用頻度 |
|---|---|---|
| 業務委託契約書 | 仕事全般の基本契約 | ★★★★★(最重要) |
| 秘密保持契約書(NDA) | 機密情報の取り扱い | ★★★★☆ |
| 著作権譲渡契約書 | 制作物の権利移転 | ★★★☆☆ |
| 準委任契約書 | コンサル・アドバイザリー業務 | ★★★☆☆ |
| 個別契約書(発注書) | 案件ごとの詳細条件 | ★★★★☆ |
「請負契約」と「準委任契約」の違い
業務委託契約には大きく分けて「請負」と「準委任」の2種類があります。この違いを理解しておかないと、思わぬトラブルに巻き込まれることも。
| 項目 | 請負契約 | 準委任契約 |
|---|---|---|
| 成果物の完成義務 | あり(成果物を完成させる義務がある) | なし(業務を遂行する義務のみ) |
| 報酬の発生条件 | 成果物の完成・納品時 | 業務の遂行に対して |
| 瑕疵担保責任 | あり | 基本的になし |
| 向いている業務 | Web制作、デザイン、プログラミング | コンサルティング、運用業務 |
Web制作やデザインなど、明確な成果物がある仕事は「請負契約」になることが多いです。一方、コンサルや運用代行のように継続的な作業がメインの場合は「準委任契約」が適しています。自分の業務がどちらに該当するか把握しておきましょう。フリーランスの始め方全体については以下の記事で詳しくまとめています。



業務委託契約書に絶対入れるべき10の条項
1. 業務内容の明確化
「何をやるか」を具体的に書きましょう。「Webサイト制作」だけでなく「トップページ+下層5ページのデザイン・コーディング」のように範囲を明確にします。曖昧にすると「これもお願い」が際限なく増えます。
2. 報酬と支払い条件
金額、支払い期日、支払い方法を明記します。「納品月の翌月末に銀行振込で支払う」のように具体的に書きましょう。振込手数料の負担者も明記しておくとベターです。
3. 納期(納品期日)
いつまでに何を納品するかを書きます。中間成果物がある場合はそのスケジュールも記載しましょう。「クライアントの確認期間」も含めてスケジュールを引いておくと、遅延時の責任の所在が明確になります。
4. 修正回数の上限
これを入れないと無限に修正を要求される可能性があります。「修正は3回まで。以降は1回あたり○○円」のように明記しておきましょう。
5. 著作権・知的財産権の帰属
成果物の著作権が誰に帰属するかを明確にしましょう。報酬に著作権譲渡が含まれるのか、使用許諾なのかで大きく変わります。ポートフォリオへの掲載可否も明記しておくのがおすすめです。
6. 秘密保持
業務で知り得た情報を外部に漏らさないことを約束する条項です。NDAを別途結ぶこともあります。
7. 契約期間と更新条件
いつからいつまでの契約か、自動更新なのか都度更新なのかも明確にしておきましょう。
8. 解約条件
途中で契約を解除する場合の条件です。何日前に通知が必要か、解約時の報酬はどうなるかを決めておきます。「クライアント都合で中途解約する場合は、作業済み分の報酬を全額支払う」のような条項があると安心です。
9. 損害賠償
トラブル時の責任範囲を定めます。上限を設定しておかないと巨額の損害賠償を請求される可能性もあるため、報酬額を上限とするのが一般的です。
10. 反社会的勢力の排除
いわゆる「反社条項」です。ほとんどの契約書に入っている標準条項です。


契約書を作る3つの方法
| 方法 | 費用 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| テンプレートを使って自分で作る | 無料〜数千円 | すぐに作れる、コストが低い | 法的リスクを見落とす可能性 |
| クラウド契約サービスを使う | 月額1,000〜5,000円 | テンプレが豊富、電子契約対応 | ランニングコストがかかる |
| 弁護士に依頼する | 3万〜10万円/件 | 法的に安心、カスタマイズ可 | コストが高い、時間がかかる |
おすすめは「最初に弁護士にベースとなる契約書を1つ作ってもらい、その後は自分でカスタマイズする」方法です。最初に数万円投資するだけで、その後ずっと使えるテンプレが手に入ります。単価交渉の際にも契約書が武器になるので、以下の記事もあわせて参考にしてください。



契約書テンプレートを使う際の注意点
ネット上にはさまざまな契約書テンプレートが公開されていますが、そのまま使うのは避けましょう。以下のポイントを確認してからカスタマイズしてください。
- 作成元の信頼性:弁護士や公的機関が作成したものを使う
- 法改正への対応:古いテンプレートは法改正に対応していない可能性がある
- 業種・業態との適合性:自分の仕事内容に合ったテンプレートを選ぶ
- 不利な条項の有無:クライアント側に有利な条項がデフォルトで入っていないか確認
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おすすめの電子契約サービス
- クラウドサイン:国内シェアトップクラスの電子契約サービス。フリープランあり
- freeeサイン:freee会計との連携が便利。フリーランス向け
- GMOサイン:コスパが良い。月5件まで無料
- DocuSign:グローバル対応。海外クライアントがいる人向け
電子契約サービスを使うメリットは、印紙税が不要になること、郵送の手間がなくなること、契約書の管理が楽になること、そしてどこからでも署名できる手軽さです。月に数件以上の契約を交わすなら、導入しておくとかなりの時間短縮になります。


契約書で注意すべき「危険な条項」
クライアント側が用意した契約書には、フリーランスに不利な条項が含まれていることがあります。以下のポイントは必ずチェックしてください。
- 報酬の後払いが長すぎる:納品後3ヶ月後払いなどは要交渉。翌月末が標準的
- 修正回数が無制限:「満足するまで修正」は地雷。必ず上限を設ける
- 著作権の無条件譲渡:全ての著作権を譲渡する条項は、追加費用を請求すべき
- 競業避止義務が広すぎる:「同業種の仕事を1年間禁止」などは生活に影響する
- 損害賠償に上限がない:報酬額を上限とする条項を入れてもらう
- 一方的な解約条件:クライアントだけいつでも解約できてフリーランス側は解約できないパターン
危険な条項への対処法
不利な条項を見つけた場合の対処法は以下の通りです。
- まずは指摘する:「この条項についてご相談したいのですが」と丁寧に切り出す
- 代替案を提示する:ただ「嫌です」ではなく、「○○に変更できませんか」と具体的な案を出す
- 相場感を伝える:「一般的には○○が標準ですので」と根拠を示す
- どうしても譲れない場合は辞退する:不利な条件で仕事を受けるより、断るほうがリスクは低い
契約書の条件交渉は「わがまま」ではなく、プロフェッショナルとしての当然の権利です。交渉を嫌がるクライアントとは、そもそも良い関係を築きにくいでしょう。仕事の断り方のマナーについては以下の記事で例文付きで解説しています。



フリーランス保護法で変わったこと
フリーランス保護法により、発注者には以下の義務が課されています。
- 取引条件を書面またはメール等で明示すること
- 報酬の支払い期日を納品後60日以内に設定すること
- 一方的な報酬減額ややり直しの禁止
- ハラスメント対策の義務化
- 育児・介護との両立への配慮
これにより、契約書なしの取引は法律違反になる可能性があります。クライアントが契約書を出してこない場合は、フリーランス側から提示しましょう。
もしフリーランス保護法に違反する行為があった場合は、公正取引委員会や厚生労働省の相談窓口に相談することができます。泣き寝入りせず、しかるべき機関に相談することが大切です。


契約トラブルが起きたときの対処法
万が一、契約に関するトラブルが起きてしまったら、以下の手順で対処しましょう。
ステップ1:証拠を保全する
メール、チャット、契約書、請求書、納品物など、関連するすべてのやりとりを保存しておきます。スクリーンショットやPDFでの保存がおすすめです。
ステップ2:相手に書面で通知する
電話ではなく、メールなど記録に残る形で問題点を指摘しましょう。「○月○日の契約書に基づき、○○を請求いたします」のように、具体的に書くことが重要です。
ステップ3:専門家に相談する
自分で解決できない場合は、弁護士やフリーランス協会、公正取引委員会の相談窓口を利用しましょう。初回無料の法律相談を行っている自治体もあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 小さな案件でも契約書は必要ですか?
A. 金額に関わらず必要です。1万円の案件でも「納品したのに支払われない」トラブルは起こります。最低限、メールやチャットで業務内容・報酬・納期を明記しておきましょう。
Q. クライアントが契約書を嫌がる場合はどうすべき?
A. 契約書を嫌がるクライアントはトラブルのリスクが高いです。それでも仕事をする場合は、最低限メールで条件を書面化しておきましょう。
Q. 契約書は紙とデジタルどちらが有効ですか?
A. どちらも法的に有効です。電子契約サービスを使えば郵送の手間もなく印紙税もかかりません。デジタルが主流になっています。
Q. 契約書に印紙は必要ですか?
A. 業務委託契約書は原則として印紙不要です。ただし「請負契約」に該当する場合は印紙が必要になることがあります。電子契約なら印紙は一切不要です。
Q. 契約書を自分でチェックするコツは?
A. 上記の「危険な条項」を中心にチェックしましょう。わからない条項がある場合は、弁護士への単発相談(1回5,000〜1万円程度)を利用するのがおすすめです。
Q. 継続案件の場合、毎回契約書は必要?
A. 基本契約書を最初に1つ作っておけば、案件ごとには「個別契約書(発注書)」で対応できます。個別契約書には業務内容、報酬、納期など案件固有の情報を記載します。
まとめ:契約書はフリーランスの「保険」
- 契約書なしの仕事は絶対に避ける
- 業務委託契約書の10の必須条項を押さえる
- 「請負」と「準委任」の違いを理解する
- クライアント側の契約書は「危険な条項」を必ずチェック
- 電子契約サービスを使えば手間もコストも最小限
- フリーランス保護法により、書面での条件明示は発注者の義務
- トラブル時は証拠保全→書面通知→専門家相談の順で対処
最初に契約書のテンプレートを1つ作っておけば、あとはカスタマイズするだけです。中小企業庁の取引適正化ページには契約書に関する参考資料も掲載されていますし、freee(www.freee.co.jp・サイト終了)でも業務委託契約書のテンプレートが公開されています。面倒なのは最初だけなので、今日のうちにベースを作ってしまいましょう。
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